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翻訳コラム07現実的な「翻訳料金のめやす」は?


初めて翻訳の発注を検討する場合、多くの人はまず翻訳料金・翻訳単価の目安を知りたいと考えるでしょう。そこでGoogleやYahooなどの検索エンジンで「翻訳料金」「翻訳単価」と入力して検索すると、たいていは1位に日本翻訳連盟(JTF)の「翻訳料金のめやす」というページが表示されます(2015年5月1日現在)。弊社に初めてお問い合わせをされたお客様からも、事前にこのJTFの料金目安を見たという声を聞くことがたまにありますので、実際にはかなり多くの発注者がご覧になっているものと思われます。

このJTF、もちろん怪しい団体ではありません。経産省によって認可された立派な社団法人であり、定期的に翻訳セミナーを開いたり数少ない翻訳業界の大イベント「翻訳祭」を主催するなど日本翻訳者協会(JAT)と並んで翻訳業界人なら知らぬ者のいない業界団体です。ただ、この「翻訳料金のめやす」についてはどうしても大手翻訳会社側に寄りすぎというか、翻訳業者側の願望が反映されすぎていて現実に即していないのではないかという印象がぬぐえません。6つの分野の目安が記載されており、「英文→和訳」では最低でも原文1単語あたり26円、「和文→英訳」では原文1文字当たり20円とされていますが、これは弊社の標準プランである「スタンダードプラン」の約2倍もする単価です(弊社の料金プランについてはこちら)。

もしこの金額が「めやす」となるのであれば、多くの営業マンとコーディネーターを抱え、基本的に翻訳業務を外部のフリーランス翻訳者に流して50~70%程度のマージンを取らざるを得ない大手翻訳会社(JTFの大口スポンサー)の場合のみではないでしょうか(ごく一握りのカリスマ翻訳者を除く)。もちろん、それもまた翻訳ビジネスのひとつの現実ですし、お客様によってはこうした安定した供給力を確保できる体制がぜひとも必要という場合もあるでしょう。しかし多くの中小企業様(そして一部の大手企業様)は、もっと効果的な費用体系を望まれているのではないでしょうか。

もちろん、安ければいいというわけではありません。単に安いだけの翻訳業者ならいくらでもありますし、事実、数年前から弊社でも金額重視の案件では安値訴求の業者にお客様を奪われることが増えています。弊社の翻訳料金プランですらいまや決して安い方ではないのです。しかし、極端に安い業者は質も悪く、最終的には淘汰されています。

その点、他のコラムでもお伝えしているように、弊社の料金体系は品質を犠牲にしたものではありません。弊社は基本的に営業専任のスタッフを抱えておらず、翻訳業務はできうる限り社内で対応しています。だからこそ、上記の「大手翻訳会社のめやす単価」の半額程度でまったく遜色のない品質の翻訳をご提供できているのです。

JTFの「めやす料金」は広い翻訳業界のなかの特定の範囲におけるひとつの現実ではあるでしょう。しかし、よく見られているページであるからこそ、もっと現実に即した情報もお伝えするべきだと考え、あえて今回は弊社のコラムでこの「料金めやす」を取り上げてみました。

弊社も一翻訳事業者として、できるだけ高い単価で受注できるに越したことはありませんし、翻訳単価の過度な下落は食い止めるべきだと考えております。しかし翻訳に限らずすべてのビジネスはお客様に対価に見合った価値を提供できてはじめて成り立ちます。私たちは、業界の翻訳業界の変化を直視しつつ、これからもお客様にとってメリットの高い料金で高品質な翻訳サービスを提供してまいります。