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翻訳コラム03良い翻訳業者を選ぶには
- 翻訳料金についての考え方 -


翻訳業者を選定するときに最も分りやすい指標は、「総額」あるいは「単価」です。

その他の判断基準としては、営業担当者のトーク(実績など含む)を聞いたうえでの感覚や、トライアル翻訳の品質評価などがありますが、実際のところ営業マンが翻訳をするわけではありませんので、営業トークだけでは翻訳会社の実力は分かりません。また、クライアント側のノウハウ不足や「トライアルのみ全力投球型」翻訳業者の存在により、トライアル評価も曖昧なものになりがちです。

ある意味、「金額」以外に翻訳業者の提案内容を数値化できる指標は事実上存在しないため、多くの発注者はこれを主たる基準として翻訳業者を選定されていることでしょう。

ですので、今回はまず分かりやすい翻訳料金の観点から、良い翻訳会社を選定するための考え方をご説明したいと思います。話を分かりやすくするため、「お客様の視点」、「翻訳会社の視点」、「翻訳者の視点」と順を追ってご説明します。

果たして、翻訳は「高いから質が高い」のでしょうか? 「安いから粗悪」なのでしょうか?


■お客様からの視点

翻訳会社A、翻訳会社B、翻訳会社Cから、「英語⇒日本語」の翻訳見積を取ったとします。

・ 翻訳会社Aは専任の営業マンがいて顧客対応は丁寧そう。見積単価は原文1単語当たり25円。

・ 翻訳会社Bは専任の営業マンはおらず、1単語当たり15円。

・ 翻訳会社Cは、1単語当たり7円と格安。


まずこの場合、「とにかく価格重視」のお客様でなければ翻訳会社Cは絶対におすすめできません。「プロの翻訳者がしっかりと腰を落ち着けて仕事ができる単価」(後述)にそもそも達していないからです。最近は機械翻訳を業務に導入している業者も出てきておりますので、品質重視のお客様ならば逆に不安に感じられて発注に至る可能性は低いと思われます。

翻訳会社Bについては、相場と比べて高くもなく安くもない感覚かもしれませんね。こういう場合は「当たり外れがある」と考えがちでしょう。

そして、品質重視のお客様ほど選ばれる傾向が強いのが翻訳会社Aです。しっかりした営業マンがいて、それなりの金額を取っているところは「手堅い」というイメージがあるのかも知れません。いわゆる「安かろう悪かろう」に対して「高かろう良かろう」という考え方とも言えるでしょう。

しかし、これは間違ってもいませんが、注意が必要です。

以下、翻訳会社からの視点でご説明します。


■翻訳会社からの視点

一般に、翻訳会社がフリーランス翻訳者に業務を発注する際に「中間マージン」として得る金額は、平均して請負金額の50~60%程度と言われています。大手翻訳会社であれば、おおよそマージン60%程度を最低ラインとして案件管理を行っています。

この中間マージンの是非については様々な見方があるでしょうが、受注コスト、品質管理、案件管理、顧客対応、元請けリスクを考慮すれば妥当と言えるでしょう。

しかし、二次請け、三次請けが発生しているとすればどうでしょうか?

例えばマージンが50%だとして、上の翻訳会社Aの例であれば、一次請けの翻訳業者に発注する際に翻訳者(翻訳業者)が受け取る単価は12.5円になっています。そして、その一次請けの翻訳業者がマージン40%を取って別の翻訳者(二次請け)に発注すれば、25円を支払って発注したはずが実質的な単価は7.5円。三次請けとなれば5円を下回ることもあるでしょう。

そして、こういうことは決して珍しいことではないのです。

実際、弊社代表の谷口が駆け出し翻訳者の頃は、5円前後の単価で間に何社はさまっているのか分からないような案件を担当することが多くありました(しかもエンドクライアントは大手です)。このような下請け構造は他の業界でもあることかもしれません。また、各段階でマージンを取っている業者がしっかりと品質管理をしていれば問題ない場合もあるでしょう。しかしこと翻訳業界に限っては、ほとんどの場合、自動車業界のように「各下請業者がその業者にしかできない業務をしている」という状況ではありません。ほとんどの業者は翻訳者から上がってきた原稿に対して、基本的な訳抜けチェックや数字のチェック、スペルチェックしかしないこと(悪く言えば単なる仕事の横流し)がほとんどなのです。

コラム1で述べたように「徹底したチェックを行う手間は、最初から翻訳する手間とさほど変わらない」とすれば、これはある意味当然のことかもしれません。そして、もし25円の単価を支払ったにも関わらず、単価5円の実力しかない翻訳者が一次訳を担当し、簡単なチェックを経たのみで納品されていたとしたら、「高かろう良かろう」の考え方は通じなくなってしまいます。


■翻訳者からの視点

最後に翻訳者の視点です。

何はともあれ、実際に仕事をするのは翻訳者であり、一次訳を担当する翻訳者の力量が最終納品物の品質に決定的な影響を及ぼすのは論を待たないでしょう。そして言うまでもなく、「お金」は翻訳者にとっても極めてシビアな問題ですので、この視点は決定的に重要です。

さて、「産業翻訳者はいったいどの程度のお金を稼いでいるのか?」については諸説ありますので触れませんが、処理能力についてはだいたい次の通りです。

すなわち、手の早い翻訳者でも和訳であれば1時間に処理できるのは500単語、平均的には250単語。いくら使用できるツールが進化しても、プロの品質を確保しながら飛躍的に平均値を高速化することはのぞめません。

では、その報酬が三次請けの場合に見られるような「単価5円」であればどうでしょう。稀に「1時間に1,000単語翻訳できる」という猛者もいるにはいますので、天才的に仕事の早い翻訳者ならば時給換算5,000円になりますが、平均値(250単語)を取れば時給は1250円。

いかがでしょうか? 学生のバイトとしては多少ワリがいいかも知れませんが、プロの翻訳者は基本的にはTOEIC満点に近い英語力を持ち、各分野で長年の実務経験を積んだベテランです。TOEIC900点以上の人は会社員平均よりも200万円以上平均年収が高いという調査もあります(出典:プレジデント ファミリー2013年4月号)。普通にやって時給1,250円であれば請け負わず、仕事は経験の浅い翻訳者に流れていくと考えるのが普通ではないでしょうか。

また、1時間に500単語を処理できるとしても(時給換算2,500円)、無理にスピードアップして品質を落とすかどうかのジレンマが生じます。

つまり、プロの翻訳者にとっては、分野にもよりますが和訳の場合で@10円以上の単価がなければワリに合いません。ワリに合わない仕事は、やっつけ仕事で品質を落とすか、経験が浅く実力の低い翻訳者が担当するしかなくなるのです。

機械で自動化できない仕事であるだけに、発注者様にもこの点を基本的な視点として持っていただくことは重要かと思います。


■まとめ

これらのことを踏まえて、上記の翻訳会社B(単価15円)が自社で翻訳をしている、あるいは30%程度のマージンで一次請けにのみ仕事を回している場合を考えてみてください。いずれの場合でも、上記の「プロの翻訳者がしっかりと腰を落ち着けて仕事ができる単価」を上回りますので、しっかりとした品質の訳文が納品される可能性が高いと言えるでしょう。

まとめると、重要なのは額面の金額ではありません。最終的に、誰が、どの程度の「単価」で仕事をしているかなのです。1社ではとても処理できないような量の翻訳を発注されるのでなければ、「その会社が社内で翻訳しているのかどうか」、外注しているとすれば「どのようなところに外注しているのか」を確認することが大切です。なかなか実態をつかむことは難しい場合もありますが、そうすることが、数値化できない品質面の費用対効果をできるかぎり高めるための最も確実な方法です。


最後に、少し弊社のお話をさせていただきます。


タウ・トランスレーションは自社で翻訳をします。

弊社の主任翻訳者は代表の谷口自身です。待ちの営業のみで2006年の創業以来、着実に実績を残してまいりましたので、専任の営業マンはおりません。

タウ・トランスレーションは外注の場合も二次請け・三次請けが発生するような翻訳会社は使いません。 外部に適切な専門知識を持った翻訳者がいる場合や、仕事量が多い場合は、外部の翻訳者を使用します。しかし、すでに弊社と信頼関係を築いているプロの翻訳者のみに発注するため、中間マージンも低く抑えられており、二次請け、三次請けはありません。

タウ・トランスレーションはテクノロジーのメリットと限界について深く理解しています。弊社の翻訳は100%ヒューマントランスレーションであり機械翻訳は使用しません。しかし「繰り返し部分の作業効率化」など、効率を高めるためのテクノロジーを積極的に導入し、お客様のコストに還元しております。当社では、テクノロジーを使用するだけではなくそのテクノロジーのメリット・デメリットを理解して使用することにより、テクノロジーとクラフツマンシップを融合し、その利点を最大限に活かすことを心がけています(詳しくはこちら)。


肝心の料金については、正直なところ、極端な安物買いを求める発注者の方は弊社のお客様にはならないと思います。

私たちはプロの翻訳者として仕事をし、その仕事をお客様に提供します。プロの仕事は絶対に機械任せにはできないため、そんなに安くはなりません。機械翻訳を導入して格安で翻訳サービスを提供すると謳っている機械翻訳業者さんとの比較は無益です。

また反対に、翻訳をアートの一種としてとらえているお客様とも相性が合わないと思います。私たちはプロの翻訳者集団であり、単に「見た目の素晴らしい芸術的な翻訳」を追求する求道者や芸術家ではないからです。

しかしながら、上記のように社内で翻訳作業をせずに二次請け・三次請けに仕事を流し、マージンを取っているだけの一部の翻訳会社(翻訳ブローカー)の価格帯よりは数段安いかも知れません。また、ビジネスとして翻訳サービスを提供しているプロであるからこそ、価格重視のお客様から品質重視のお客様まで予算とニーズに応じた「最適なプロ品質の翻訳」をご提供しており、結果的にクレーム発生率0.3%という、翻訳業界では群を抜いた顧客納得度を達成してまいりました。

日本の翻訳会社は品質・金額とも差が激しく、玉石混淆の乱立状態です。そのなかで、タウ・トランスレーションは品質に真摯な翻訳会社として創業10年目を迎えることができました(2015年時点)。弊社では、今後ともお客様にとって価値の高い翻訳サービスを適切な料金でご提供してまいりたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。